葬儀で活用できる、AIによる故人紹介ナレーション作成システム「IKIRU(いきる)」を開発しました。
葬儀のナレーション原稿は、葬儀社が司会者に依頼することが通例で、作成には経験に基づいた専門的視点と高度な技術が求められます。また、ご遺族へのインタビュー時間を含め半日以上の時間を費やします。
しかし、「IKIRU」を活用することで、故人の思い出やご遺族の想いを言語化した最適なナレーション原稿が楽に作成できます。しかも、お名前などの基本情報は別にして、人柄や趣味、仕事のことといった3ステップの質問に答えるだけで、「IKIRU」のAIが適切なナレーション原稿を自動で生成します。
人材不足や育成を課題とする司会業者や、外注費といった経費を削減したい葬儀業者のための、クラウドAIシステムです。その開発にものづくり補助金を活用しました。
人は突然、亡くなります。お葬式は短期間で準備をしなければなりません。そのなかで故人を紹介するナレーション原稿を作成します。葬儀の時間は20~30分。その間に故人の一生や、ご遺族、参列者が求める言葉を作るのは、例え2~300字の原稿であっても大変なことです。
しかも、高齢化社会の次に訪れるであろうと想定されている多死社会によって、葬儀が増えることは予測されます。お葬式はご遺族の心のケア、グリーフケア(死別の悲しみを抱える遺族へのサポート)の上でも大切なことです。
その大切な故人紹介ナレーションを「IKIRU」を活用することで、簡単に作成でき、葬儀の人手不足が解消され、葬儀業界の人材教育の時間の短縮と組織化を安価でおこなうことができます。
現在、競合はありません。ChatGPTのようなAIが競合になる可能性はありますが、葬儀の分野での活用は今のところ存在していません。葬儀のナレーションを職業としている人はいますが、みなさん個人でフリーの司会をされている方です。葬儀分野において優位性はあると考えています。
単純に故人紹介ナレーション原稿だけを書くにしても、慣れている人でも40分はかかります。初めての人にはまず、書けません。「IKIRU」だと画面に入力するだけ。完成するまで1分もかかりません。
葬儀会社さんにサブスクで使っていただいています。
国内では、葬儀会社さんにお棺や骨壺を卸している商社さんと独占販売の契約を結んでいます。新しいサービスを探していたということで、弊社に声をかけていただきました。
今後は、多言語モデルを作り、東南アジア系、フィリピンや台湾、韓国に販売していきたいと考えているので、そちら方面に強い代理店さん、商社さんなどとマッチングしたいと考えています。
また、弊社の「IKIRU」に興味を持っていただける会社さんとは積極的にお話をしたいと思います。
「IKIRU」のバージョン5を2023年10月1日にリリースしました。今後もバージョンアップは続けて行く予定です。
また、多言語モデルもそうですが、ナレーション原稿を作成するだけでなく、音声を付けてナレーション原稿を読み上げるシステムを目指しています。その次は、ロボットを作りたいと考えています(笑)。
祖母の葬儀に参列したことがきっかけとなって、葬儀業界に身を置くようになりました。葬儀の式典をつかさどる司会業をスタートさせ、今まで携わってきた葬儀を数えると、1万件を超えます。今は現場を離れ、葬儀会社の司会育成に力を入れています。
私は25年間、葬儀の司会者を務めてきました。培ってきた私のノウハウをAIで自動化できないかと考えたのが、開発に取り組んだ理由です。全ての人に安くて良いお葬式を提供することを目指しています。
お葬式は、改めて自分の人生と向き合う場所だと思います。自分はどう生きて行くか、変な話、自分が生きていることを強く実感するのがお葬式の時です。人の死に接して、生きることを知る。そのため、「IKIRU(いきる)」と命名しました。
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