
弊社は、廃プラ・バイオマス材を使って造形可能な、ロボットアーム式3Dプリンター「Rex-Butler」を開発しました。
「Rex-Butler」は、自社開発の大型造形機「EXF-12」の3Dプリントヘッドを活用し、市販の協働ロボットと組み合わせ、ミドルサイズで導入しやすい、造形自由度の高いロボットアーム式3Dプリンターです。
汎用樹脂ペレットを材料としており、廃プラ・バイオマス材も使用可能です。粉砕機、造粒機を合わせて、マテリアルリサイクルの製造ソリューションを提供します。また、切削機能や簡易金型成型機能をオプションとして追加し、MMA System(Multi-Mode Additive Manufacturing System)としての拡張性を備えています。
協働ロボットを組み合わせて3Dプリンターとして製品化したのは、世界でも弊社が初となります。
また、特徴は、3Dプリントヘッドです。ヘッドとは、工作機械などで使用されている射出成形機です。
難しいとされていた協働ロボットと3Dプリントヘッドを組み合わせ、ソフトウェア制御を弊社は可能としました。そのことで、従来の3Dプリンターでは不可能だった複雑な形状も造形することができます。とても珍しいタイプの3Dプリンターだと言えます。
ものづくり補助金は、「Rex-Butler」の開発のために活用させて頂きました。
2つのポイントがあると考えています。
1つが、今、プラスチックは世の中の悪者にされていますが、リサイクルプラスチックを積極的に活用する取り組みも進んでいます。そのため、プラスチックの需要は増えています。なぜなら、高性能なプラスチックができることから金属の部品をプラスチック部品に置き替えているからです。
プラスチック部品の造形に「Rex-Butler」は最も適しています。
もう1つは、多くの製造業では材料の入手と在庫に課題を抱えています。得意先のオーダーに合わせて材料を購入して在庫しなければならない。しかし、仕様の変更があるとまた、材料の入手からスタートするので時間もコストもかかります。
「Rex-Butler」なら、最小限の必要量の材料さえ入手できれば造形が可能です。また、材料に廃棄物を利用して頂くことも可能です。
この2つの観点から社会需要があると考えています。まとめると、金属代替市場における樹脂加工の新しいプロセス。3Dプリンタープラス切削加工という新しいプロセスで、スピードを上げてコストを下げて頂く。そして、リサイクルやサスティナブル材料を活用して、環境にも優しい。「Rex-Butler」はこの2つの観点で市場のニーズがあると考えています。

3Dプリンターは材料ビジネスです。そのため、A社の3Dプリンターなら、A社専用の材料しか使えないというのがほとんどです。
「Rex-Butler」の材料はオープンです。自社でご用意頂いた材料や、新しい材料にチャレンジできる、使えるのが大きなポイントです。
また、造形のスピードが速いこともポイントです。通常の3Dプリンターが何日も造形にかかるものでも「Rex-Butler」なら5時間ぐらいで作れます。
あと、手前味噌になりますが、私自身、切削加工を含めた製造業出身の人間なので、製造業の立場、知見から考えたシステムという点では、他の3Dプリンターメーカーとはアプローチが違っていると思っています。
実は、弊社では3Dプリンターを強調していません。付加製造機と謳っています。樹脂を材料として積み上げて作るという意味合いで付加製造機です。アイデアを工業製品にすることが重要で、3Dプリンターで完結させる、3Dプリンターを押し付けるメーカーではありません。実践的なモノづくりに即し、かつ環境課題を解決しようという、2つの観点から事業を展開している会社なのが大きな違いだと思っています。
「Rex-Butler」を導入頂いた、前田技研様は、自動車メーカーのサプライヤーなのですが、独自の展開として、植林した木を伐採した際に出る木くず等を混ぜたウッドプラスチック材料を使い、木の風合いのあるウッドプラスチックの家具を製作されています。これはブランドを確立して、ホテルに販売されています。従来の技術を応用し、新規事業として弊社の「Rex-Butler」を活用して頂いています。
新製品開発に関するトータルサービスを展開しているアーク様が、自動車のエアロパーツの製作に「Rex-Butler」を活用して頂いています。カスタム仕様のエアロパーツを量産体制で製作するとコストが見合いません。自動車は今、ミニマムロットの、ユニークかつ、個性的なパーツが増えています。3Dプリンターの良さは、大量生産には向きませんが、ミニマムロットのカスタマイズには圧倒的に有利なことです。
「Rex-Butler」は、新規ビジネスに打って出よう、新しいモノづくりにチャレンジしたいという大手企業様に注目されています。
また、新潟で店舗内装を手掛けている新潟タキザワ様は、補助金を取得され、今問題になっている人手不足による働き方改革のために、「Rex-Butler」を導入され、活用して頂いています。
同様に、社会問題に即した解決策として、「Rex-Butler」を活用して頂きたいと考えています。

弊社はハードウェアのメーカーですが、ソフトウェアのメーカーに近いと思っています。また、重要となるのが、3Dプリントヘッドです。今後は、3Dプリントヘッドが扱えるソフトウェアの会社として成長して行きたいと考えています。
日本のモノづくりの良さと組み合わせ、新しいテクノロジーで、単純に3Dプリンターを制作するだけでなく、新しい3Dプリントヘッドの技術を有するソフトウェアの会社として、また、使える材料の知見を生かし、サスティナブル材料を使ったプロダクトを生み出し、それを社会実装して行くことを目指したいと思っています。

弊社は、大型3Dプリンターの開発、研究及び販売を行っているスタートアップです。
3Dプリント技術を駆使した、次世代のモノづくりをクリエイティブの力で解決する会社としてスタートしました。
プラスチックリサイクルを拡大するため、様々な樹脂材料(ペレット)に対応した3Dプリンティング技術を研究し、自社開発の国産の、高速かつ大型の付加製造機(3Dプリンター)をはじめとした、各種製品・サービスを提供しています。
R&Dにも強く、メンバーシップ制による弊社システムやリソースをご利用頂けるサービスも展開し、様々なノウハウや知見の共有を推進しています。
弊社のミッションである「Green Creative™」をみなさまと共に推進し、環境問題などの社会課題解決を進めていきたいと考えております。
創業が2017年12月ですが、私は25年ほど、3Dプリンター業界に関わってきました。
若くて、博士号を持つ、アカデミックなスタッフが多いのも特徴です。

3Dプリンターの基礎技術は、1980年に名古屋市工業研究所の小玉秀男氏が「立体図形作成装置」として発明しました。しかし、この技術は当時の日本企業では活用されず、アメリカの研究者が実用化に成功し、1987年に世界初の商用3Dプリンターが製品化されました。
日本人が発明したのにも関わらず、現在はアメリカ、ヨーロッパ主流で、家庭用の3Dプリンターは中国製に制圧されています。
3Dのソフトウェアの開発に携わって来た私の観点から言えば、3Dプリンターの特性、特徴を生かせるような新しい設計やデザインが弱いと思っています。3Dプリンターは、従来の工法では不可能だった形が作れます。そのため、従来の設計やデザインの発想を変えて行かなければなりません。
生成AIを含めて、AIがこれだけ発達している時代です。アイデアをデータにする、プログラムにすることはAIを使えば簡単にできます。大切なのは発想を変えることです。モノづくりも大量生産ではなく、上手く工夫すれば、3Dプリンターで小ロット生産し、利益の出る、あるいは売れる商品が作れると思っています。そのような世の中にしたいと考えています。でないと、大量生産と資本力がある中国には勝てません。
「Rex-Butler」を有利な道具として活用して頂きたいと考えています。

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