人と人とが、遠隔で物理的な触れ合いを通してコミュニケーションを可能とするロボット、「ゴロファミリー」を開発しました。
このロボットには慶應義塾大学が発明したリアルハプティクス技術(RH技術)が組み込まれています。2台のゴロファミリーロボットが離れた遠隔地にあっても、ネットワークで繋ぐと、それぞれのロボットがあたかも同一ロボットであるかのように、力触覚を感じながら操作できます。対象物に触れると操作の勢いが弱まるなど自在です。
インターネットの高速接続が実現され、100Km離れた遠隔地との間でも映像や音声を使ったコミュ二ケーションが容易となりました。同じようにネットワークにつながることで、遠隔地からお年寄りの頬っぺたを優しく触れることを可能としています。
「ゴロファミリー」には、以下の4つの機種があります。
1.ゴロニャン:ぬいぐるみペットアバターロボット。
2.GOROlite:汎用力触覚デバイス。
3.ゴロメモリ―:再生用力触覚デバイス(触通=文通に相当する力動作レター用)。
4.ゴロハンド:遠隔握手&再生握手装置。
同一機種間での接続はもちろん、異機種間での接続も可能です。そして相互間でリアルタイム力触覚伝送が実現されます。機能検証機が1~2台しかなかったのですが、ものづくり補助金を活用して、プロトタイプを10台制作しました。その10台は、実証実験に現在も使われています。
産業界でRH技術を利活用する活動が2015年以降から本格化するなか、折角のRH技術の応用テーマのほとんどが産業界・製造現場であり、人と人とのコミュニケーション改善に活用するテーマが抜け落ちていることに危機感を感じました。触れ合いを通して人と人との心を伝え合う「以触伝心」分野にこそ力触覚を復活させるべきと考え、先駆けとしてシニア・ベンチャーを立ち上げました。
抱き合う、肩を叩き、握手し、ハイタッチするなどの触れ合い行為は、言葉にならない、言葉にしにくい自分の気持ちを相手に伝え、双方向で理解し合う優れたコミュニケーション手段です。双方が親密感や一体感を共有できるだけでなく、不安な気持ちをぬぐい去り、情緒を安定させて信頼と愛情を高める効果を期待できます。
最近、お年寄りのコミュニケーション機会がどんどん失われています。SDGsに掲げられる「人や国の不平等をなくそう」にある、お年寄りや交通弱者の社会的繋がりの維持・拡大の支援を、「ゴロファミリー」が担えるものと信じています。
ビジネス分野でも、メンバー間の関係性を改善するとか、多様な価値観を持つ人々の共通理解を深めていくには、会議のアクセントとして触れ合い効果を導入することが効果的です。
さらに、放送事業を通して触れ合いを視聴触者が共有できる時代や、メタバース空間とリアル空間を繋ぐ時代がすぐそこまで来ています。
「人の優しさをつなぐ」というコンセプトには競合はありません。みんな仲間です。触覚コミュニケーションの分野はスタートしたばかりなので、競合と戦うというより一緒に伸びて行ければと思います。
弊社の優位性を強いて言えば、RH技術応用のフロントランナーであり、すでに触覚コミュニケーションロボットのゴロニャン及び遠隔握手装置を開発していることです。製品開発を通して、民生応用分野でRH技術を利活用するノウハウや技術成果を蓄積しているのも優位性です。
弊社は「以触伝心」分野に力触覚を復活させる目的に共感いただける企業と連携して、連携先に今までの成果を繋ぎ、「以触伝心」の社会実装活動を拡大して行く覚悟です。
敬老ホームや病院に入居/入院されている方や、遠方にいる家族の方々に使用して欲しいです。この装置は触れ合い交流を記憶できます。触れ合いをリアルタイムで楽しむだけでなく、触れ合い交流を記憶しておき、オフラインで再現することもできます。
例えば、施設に入居している祖父母と孫とが触れ合う、入院のため出席できない友人の結婚式に遠隔から握手で参加する、憧れのアイドルとの握手データを再生し、追体験して楽しむなどの使用シーンがあります。
ホテルや集会場などに遠隔握手装置や遠隔ハンドを常設するサービス事業や、メタバース空間やライブ配信に連携するソリューション構築サービスなどもあると想定しています。
「以触伝心」分野に力触覚を復活させる目的に共感いただける多彩な企業と連携して、今までの弊社の成果を繋ぎ、「以触伝心」の社会実装活動を進めたいと考えています。その繋ぎを担っていただけるバイヤーさんとマッチングしたいです。
具体的には、「ゴロファミリー」を製品化してくれる企業があれば嬉しいです。
弊社としては、
・遠隔コミュニケーションに触れ合いを復活するロボット技術、製品を提供し、ゴロニャンなど家庭用市場を狙う企業および遠隔握手装置などの装置ビジネスを狙う企業に寄与したいです。
・ライブ配信技術に物理的触れ合いを合体して視聴触者とのコミュニケーション深化・囲い込みを狙う企業およびエンジニアリング企業に寄与したいです。
・メタバース環境とメタバース住民とのコミュニケーションに力触覚を追加、住民の自己主体感の高揚を狙う企業およびエンジニアリング企業に寄与したいです。
弊社は遠隔コミュニケーション機能から欠落した触れ合いを復活させることを目的として、2017年に設立しました。私は、慶應義塾大学のハプティクス研究センターの副センター長を務めており、RH技術の利活用先の一つとして、人と人とのコミュニケーション分野を立ち上げるため、自らベンチャー企業を起業しました。
弊社は民生用でRH技術を利活用可能とするため、多様な関連開発を実施しました。例えばブラシレスモーターの代わりに高減速比ギヤーの付属したブラシモーターの利用を可能とし、高速読み取り装置を開発してロードセル利用を可能とするなどです。その成果として、大幅な小型軽量化とバッテリー駆動を実現しています。
触れ合いは言葉にならない自分の気持ちを相手に伝え、双方向で理解し合い、一体感を共有できる優れたコミュニケーション手段です。しかしながら、ネットワークが高度化しインターネット世界が大きく発展しているにも関わらず、「以触伝心」の支援が欠落したまま放置されていることが大問題と考えたのが背景です。この欠落を解消して以触伝心の支援をネットワーク上で実現することが私のライフワークです。
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