農業での“感”が“数値”として確認できる

桐生電子開発合同会社 
代表 木暮 一也

スマートアグリ制御装置の更なる小型を

─御社の主な事業内容を教えてください。

当社は電子機器の設計開発、製造及び販売を行っており、特に注力しているのが農業用IoTの開発です。
今後、電子機器のメーカーとして、何を目指すべきなのかを考えたとき、農林水産省と植物構造を研究する機会があったことから、光センサーを活用してアグリ分野に貢献できないかと思い立ちました。
現在、主力となっているのは、スマートアグリ制御装置です。これは、日射量や温度、湿度などを測定し、それに基づいて、例えば換気扇を回したり、水を自動的に撒いたりする装置です。

今はベンチャーを中心に多くの企業がアグリ産業に取り組んでいます。当社ではそのなかでも特殊なものを開発することで独自性を出したいと考えています。

─どのような背景・目的で本事業に取り組んだのですか?

スマートアグリ制御装置は、日射量や温度、湿度の測定以外にも液体肥料などの濃度管理、土中の水分含有率、防犯センサーによる侵入察知やカメラを活用しての成長監視ができるなど多機能なのですが、もっと小型化したものが欲しいとの要望を多数、頂きました。その開発のためにものづくり補助金を活用させて頂くことにしました。

小規模の生産者を応援したい

─展示会の出展物(ものづくり補助金を活用して開発した製品・サービス・技術等)について教えてください。

農作物の生体状態の変位を検出する近赤外を使った光アグリセンサーです。例えば近赤外を農作物の茎などに当てると、近赤外が茎を通過して帰ってくるので、その光の量の変化を見ることができます。そのことで、どれくらい農作物が水や肥料を吸い上げているか、光合成が出来ているのかなど、農作物の環境制御の結果を変位として観測することが可能となります。また、農作物にとって現在の環境が最適な状態か否かを把握することができます。

─それは世の中にどう役立つのですか?

光アグリセンサーで計測することで、決まった時間に水を撒いているが、実はそれはあまり意味がない、ということもわかります。また、ハウスなどで適切な温度もはっきりと分かるため、暖房のための燃料費の節約にもつながります。 そして、従来、農業技術で“感”といわれていたものが“数値”として確認できるので、“改善の見える化”で生産性の向上を図ることができます。数値によって明確な指針ができるため、技術を持たない新規農業事業者の指標にもなります。

─競合と比べての優位性は何なのでしょうか?

コンパクトな製品を安価で提供できることを考えています。大規模な生産者よりむしろ、小規模の生産者を応援したいと思っているからです。確かに大規模な生産者を対象とした方が効率は良いのでしょうが、日本に多い、小さな事業者を大切にしたいという想いがあります。
また、農業向けのIoT製品が数多くありますが、多くは間接的に農作物の状態を見ているだけです。農作物にとって良いか悪いかまでは分かっていませんでした。光アグリセンサーでは農作物の本当の状態が見えます。つまり、改善の見える化ができるということです。

─どのような使用シーンを考えているのでしょうか?

付加価値の高いのはイチゴだと考えています。冬場でなくても夏場でも栽培できるのではないとか考え、現在、実証実験を行っています。農作物は生産時期がほぼ決まっているため、季節労働になってしまうという問題があります。一年中収穫できるようになれば収入は安定しますし、今までなかったものができることで希少性は高まります。

─どのような場所・人に使ってもらいたいと考えているのでしょうか?

小規模の生産者に活用して頂きたいですが、特に若い生産者に活用して頂きたいと考えています。若い方はコンピュータを使うのがとても上手です。農作物を数値化することは、若いIT世代にとって、デジタル機器による数値制御は非常に親和性が高いため、光アグリセンサーは受け入れやすい製品だと考えています。
また、農業の技術開発の分野でも使って欲しいと考えています。果実などではよく、朝摘みが良いとされていましたが、科学的な根拠はありませんでした。光アグリセンサーで計測することで、本当に朝摘みが良いということも分かるようになってきました。今まで感や経験でいわれていたことが科学的に解明できるほか、新発見にもつながると考えています。
さらに、この技術開発で得られた成果は工業分野や、医療健康分野に展開することができます。

若い生産者や研究機関に活用して欲しい

─どのようなバイヤーとマッチングしたいとお考えですか?

一番のメインは生産者さんになるのですが、今回の展示では農業専用のセンサーを扱っている企業は多く来場されると思うので、そういうところとコンタクトが取れればと考えています。また、各地にある大学の農業研究分野や農業の技術開発センターのような研究機関ともマッチングできればありがたいです。新しい技術を求めている研究者や企業と接点が持てれば新たな活用方法も見えるのではないかと思います。

─補助事業について、今後の展望について教えてください。

技術的なところでいえば、光センサーで農作物の茎を透過させますが、茎が太いと透過しなくなります、そのため、表面から反射してくる光を利用するなど違う構造を考えなければなりません。またセンサーも大きいため、取り付けられる場所に制限があります。例えば茎ではなく根の部分を観察できる小型のセンサーは今世の中にないので、そのようなものが開発できれば面白い計測ができはずです。
今後、開発を進め、安価にして普及率を増やして行きたいと考えています。そもそも農業用の光センサーは認知があまりありません。認知の向上のために農業関係の学会などで積極的にPRしたいですね。そういうところから広がれば面白いと思います。展示会以外の方法も開拓したいと考えています。
また、今はアグリビジネスに参入する若い人も増えています。面白い技術を応用して何かやりたいという人がいたら協業したいとも考えています。

出展プロフィール

出展物の業種
電機・電子部品
補助事業実施年度
平成29年度
補助事業計画名
農業のIoT化に寄与する光アグリセンサーシステムの開発

企業プロフィール

社名
桐生電子開発合同会社
創業年月
平成27年6月
代表者
木暮一也
本社所在地
〒376-0013 群馬県桐生市広沢町2丁目3330番地1
TEL/FAX
0277-47-6333/0277-47-6383
WEBサイト

http://www.krydk.co.jp

資本金
500万円
従業員数
2名
取扱製品

スマートアグリ環境制御装置、光アグリセンサー、受託開発製品