伝統ある「漆」を新素材へと復活させる

j's株式会社 
代表取締役 中山 哲哉

衰退する漆産業を支えたい

─御社の主な事業内容を教えてください。

当社は14年かけて取り組んできた「漆」の工業化技術開発や商品企画・製造を行っています。
漆は1万年以上前から人類が使用してきた素材です。しかし、工業化できないという課題を抱えていました。
当社では東京都立産業技術研究センターと共同開発して特許取得した、漆と木粉などの植物繊維のみを原料とするバイオマス100%の成形材料「サスティーモ®」の量産化と製品化に注力しています。また、最近では風上から風下までということから、漆の植林に関する支援もおこなっています。

─どのような背景・目的で本事業に取り組んだのですか?

漆は古来から工芸品などいろいろな用途で使われてきました。剥がれにくく、劣化しにくいうえ、独特の光沢が出ることで漆器などの高級品として珍重されてきた反面、扱い方が難しい材質という悩みを抱えていました。そのため漆産業が衰退する原因のひとつになっています。
それを何とかしたいという思いと、脱炭素社会に向けてプラスチック代替品となる天然物での製品を増やしたいという思いから、不可能といわれていた漆の工業化へのチャレンジのためにものづくり補助金を活用しました。

漆製品を扱いやすくした新素材

─展示会の出展物(ものづくり補助金を活用して開発した製品・サービス・技術等)について教えてください。

従来の漆の性質である硬化するまでに月日がかかる、漆かぶれを起こす可能性がある、といったことが解消された製品が「サスティーモ®」です。これは、漆樹液と植物繊維のみを原料とした成形材料です。この「サスティーモ®」を使って食器やアクセサリーなどさまざまな製品を作ることができます。

特許製法の漆樹液と木を粉末化した原料のみを混ぜ合わせて作るバイオマス100%の成形材料で成形しているため、脱炭素社会に向けてプラスチック代替品となる可能性を秘めた環境に優しい天然物です。また、補助事業により導入した機器を用いて二次加工を行うことで商品の製造も可能です。
漆という感性価値を持った素材の工業化や、金型や二次加工による漆製品のデザイン自由度を拡げたことで、従来参入できなかった市場への展開が可能となりました。

─それは世の中にどう役立つのですか?

デザインできる自由度を活かし、合成樹脂の代替製品などを増やすことができれば、衰退する漆産業の底上げも可能となります。また、産業の底上げにより、若手の雇用なども生まれ、技術の継承につなげることもできるようになります。また、地球温暖化の抑制につながります。

─競合と比べての優位性は何なのでしょうか?

従来の漆製品と比較すると、デザインの自由度によりさまざまな商品が製造できることです。そのためデザイン性のある商品を大量生産できます。また、漆かぶれがなく、加工が短期間でできるというメリットもあります。
プラスチック製品などと比較すると、天然100%なので環境に優しいのがメリットです。高級品である漆製品が安価に作れることは優位性があるといえます。

─どのような使用シーンを考えているのでしょうか?

現代の日常生活に溶け込んで、日々活用していただけるような商品などに使用して頂きたいと考えています。また、漆では身に付けるアクセサリーは、かぶれの問題から敬遠されてきましたが、それも可能です。使い方は数多くあると考えています。

─どのような場所・人に使ってもらいたいと考えているのでしょうか?

デザインが自由なので、ほとんどの商品製造が可能です。例えば、複雑な形状の洋食器としてダイニングでの使用や、変わったところではヘッドフォンなどの使用があります。その他、プラスチックで作られたものを漆の製品に変えることを目指しています。 また、漆は抗菌作用もあるので包丁の持ち手の部分にも応用できます。特に包丁は近年、道具としてだけではなく美術品に近い扱われ方がされてきました。

持ち手を漆で作ることで美術品としての価値が高まります。同様に漆をベースにした商品をあらゆる場所に広げたいと思っています。
特に力を入れたいのが、漆を知らない若い世代の人に使っていただける商品です。

最先端から伝統分野までさまざまな分野で活躍できる

─どのようなバイヤーとマッチングしたいとお考えですか?

環境商品に力を入れている企業や、日本の素材で商品差別化を図りたい企業です。最先端はもちろん、包丁といった昔からあるものとのコラボレーションで新しい価値の創造などは面白いと思っています。

─補助事業について、今後の展望について教えてください。

まだまだ発展余地のある技術であり、新たな技術開発もスタートしているところです。今後も、新しい技術を発展させたと考えています。

出展プロフィール

出展物の業種
環境・建設・エネルギー
補助事業実施年度
平成28年度
補助事業計画名
次世代漆器材料(天然材料のみ)を用いた成形体製品製造工程の改善

企業プロフィール

社名
j's株式会社
創業年月
平成27年11月
代表者
中山哲哉
本社所在地
〒108-0014 東京都港区芝5丁目27-3 MBC-B20号
TEL/FAX
03-6431-9242/03-6431-9243
WEBサイト

http://js-inc.co.jp/

資本金
200万円
従業員数
3名
取扱製品

漆製品