ドローン技術を応用して「壁面走行ロボット」を開発しました。これは、その名の通り、壁面を走行するロボットです。プロペラの推進力と走行輪で、垂直な壁面でも走らせることが可能です。検査機器を搭載し、コンクリート製の橋やダムといった大型インフラの点検・検査に役立てることが目的です。
検査機器は各社から出ていますが、大小さまざまあります。そのため、形態に合わせて「壁面走行ロボット」をカスタマイズする必要があり、軽量で強度のあるパーツを少数制作するのにカーボン3Dプリンターが適していることから、ものづくり補助金を活用して導入しました。
コンクリートは年数が経過するとひび割れが生じます。橋やダムといった土木構造物の場合、点検や検査を行うには大型の足場を組む必要があり費用と手間がかかっていました。
私は国交省の財団法人に勤めた後、ドローンに関わるようになった関係から、数十年前、ドローンが登場した際、ダムの点検作業にドローンを活用できないかと相談されました。しかし、ドローンでダムを撮影をすることでひび割れが発見できたとしても、そのひび割れの内部データは取れません。
内部データは打音検査という、叩いた時の音の波形で調べることができます。通常、打音検査では電磁波レーダーを使うのですが、近接でないと作動しません。ドローンに検査機器を積み、接近して検査をするというのも現実的ではありません。どうすれば良いかと考えたとき、壁面を走行できるロボットなら解決できると考えました。
大型インフラの点検・検査に役立つロボットはまだ、弊社以外にありません。また、検査機器を動作させるための反動力を抑える技術に特許を取りました。今後、他社で同じロボットを作ることは不可能です。
それに、私は現在のようにドローンが流行る以前からドローンの開発に携わってきました。設計から開発までの全てにおいて技術力があることも優位性があると考えています。
ニーズが多いのは、橋脚です。
コンクリートの建造物では”かぶり厚さ”が重要になります。”かぶり厚さ”とは建造物に入っている鉄筋にどれくらいコンクリートがかぶさっているかを言います。例えば30cmのコンクリートに2mmのひび割れがあっても支障はありません。しかし、5cmしかなければ2mmでも見逃すわけには行きません。昭和に建てられた建造物は図面では30cmとあるのに実は5cmしかないと言うことがあります。同じひび割れでも”かぶり厚さ”によって対処すべきかを判断しなければなりません。
検査のために足場を組みますが、例えば20mの橋脚に足場を建てると1千万円くらいかかります。それに、全ての建造物に足場を組めるかというとなかなか難しいのが現状です。高所作業車が近寄れればよいですが、高所作業車が入れない場所も多くあります。また、検査をする人は高齢者が多く、足場が10~20mもあると転落事故も起きてしまいます。
「壁面走行ロボット」ならば足場レスですし、異常のあるところだけをピンポイントで走らせればよいので、コストが削減できます。そして、転落事故も減らせます。
高速道路や鉄道関係からの問い合わせが多いこともあり、橋脚や橋、ダムなどの点検・検査の際に活用していただくことを想定しています。マンションなどでも点検・検査は必要ですが、「壁面走行ロボット」は大きなプロペラ音が発生するため、住宅街での活用は難しいと考えています。
検査機器を取り扱っている会社さんとマッチングしたいと考えています。また、高速道路や鉄道関係、建築関係の大手企業をクライアントに持ち、検査を提供している会社さんともお話ができればと考えています。そのような会社さんが検査方法のオプションとして「壁面走行ロボット」を検討していただければ嬉しいですね。
あと、検査機器の開発を行っている会社さんから「実証実験をやりましょう」という提案も多くなってきているので、そのような会社さんとも協業できればと考えています。
それに、代理店さんやレンタルで扱いたいというリース会社さんからの引き合いも多い状態です。弊社は開発は得意ですが、スタッフも少なくリソースもないため、販売は協力会社さんにお願いできればと思っています。
弊社オリジナルの検査機器の開発を進めています。現在、富山県立大学の、コンクリートの非破壊検査で成果のある内田慎哉先生と一緒に、先生が開発した検査機器と「壁面走行ロボット」をミックスすればどういうエビデンスが得られるか研究している段階です。近い将来、検査機器と一体化した「壁面走行ロボット」をお見せできると思います。
弊社はラジコン事業からスタートした会社です。現在、依頼が多いのは、ロボットやドローンの開発です。
現在、国土交通省の建築研究所と、マイクロドローンを活用した建築物の点検に取り組んでいます。例えば、人が入るには狭い屋根裏などを、マイクロドローンを飛ばして画像を撮り、点検するというものです。建築研究所とガイドラインを制定し、今後、この分野を伸ばしていこうと考えています。
インフラの老朽化が課題になっています。特に問題になっているのが下水管のような地下に潜っているインフラです。下水道管の検査・点検をドローンで行うようになってきましたが、ほとんどの管は20~30cmの細い管です。そのような管は電波も届きませんし、真っ暗で照明もありません。そんなところをどう検査・点検するのか?下水道関係の建設コンサルタントと一緒に問題解決に取り組んでいますが、課題は山積みです。
そのような老朽化したインフラの検査・点検に貢献したいと考えています。現在の「壁面走行ロボット」では対応できない場所はまだ多いため、進化させた「壁面走行ロボット」を開発していく考えです。
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