発酵で生産する天然の界面活性剤「スピクリスポール酸」

磐田化学工業株式会社(静岡県・磐田市)
取締役 開発室 室長 関口喜則

天然由来の界面活性剤が求められている

スピクリスポール酸

─補助事業の成果である製品・サービス・技術等について教えてください。

弊社では、天然の界面活性剤「スピクリスポール酸」を製品化しました。

世の中に界面活性剤は数多くありますが、95%以上が石油由来の合成品です。天然由来の界面活性剤は植物エキス製品以外にはほとんどありませんでした。弊社は発酵メーカーであることから、微生物で作れば天然物になると考え、製品化に取り組んできました。

「スピクリスポール酸」を工場で大量生産するための発酵条件や、生産プロセスを確定させるために分析装置が必要だったことから、ものづくり補助金を活用して導入しました。

─それは世の中にどう役に立つとお考えですか?

界面活性剤は化粧品や洗剤、食品、医療品など、幅広い分野で使われています。例えば、代表的なものとしては洗剤やシャンプーの洗浄成分になりますが、化粧水では水に肌に良い有効成分を溶け込ませる、ドレッシングやチョコレートでは水と油を混ぜ合わせるなどの用途で使われています。

用途によっては安全性が重要で、合成品ではなく天然素材の界面活性剤が求められていました。特に必要としていたのは化粧品分野です。化粧品は肌に直接使われるもののため、なるべく合成品は使いたくないという要望がありました。弊社が開発した「スピクリスポール酸」は天然で肌への刺激や低いうえに、精製に注力して98%まで純度を高めた高純度なので、化粧品に配合しやすいという利点があります。

また、洗剤にも適しています。食器を洗ったり、洗濯したりした排水は最終的に海に流されます。合成品だと海を汚す原因になります。「スピクリスポール酸」は自然の中ですぐに分解する特徴があり環境に優しいことから、ナチュラル志向のメーカーさんに興味を持っていただいています。

工場

─競合と比べて優位性は何でしょうか?

天然由来の界面活性剤としては植物エキスがありますが原料に限りがあります。一方、「スピクリスポール酸」は工場で発酵生産できます。弊社では、「スピクリスポール酸」を工場で大量生産できる体制を整えているため、安定供給が可能です。さらに精製工程に注力し使いづらい液体ではなく粉末の形で販売します。夾雑物がなく高純度なことも優位性だと言えます。

現在、「スピクリスポール酸」を扱っている企業は弊社しかありません。発酵という特殊な技術で製造をしていることから今後、他社が製品化する可能性も非常に低いです。

化粧品メーカーや洗剤メーカー、代理店とマッチングしたい

─どのような使用シーンをお考えですか?

現時点では、化粧品や洗剤用途で考えています。「スピクリスポール酸」の特徴である、天然由来であること、安全性が高いこと、環境問題に貢献できることを活かすとそれ以外の分野でも活用できるのではないかと思っています。最近では、食品関係のメーカーさんも興味を持っていただいていますが、「スピクリスポール酸」は食経験がない素材のため、食品の安全基準が担保されているとは現状、言い切ることができません。もちろん、安全であるというデータはあります。今後、食品用途としてのデータを蓄積することで食品関係にも展開して行けると考えています。

また、「スピクリスポール酸」を研究開発しているなかで、抗菌活性のある物質「D酸」が生まれました。この物質も天然素材のため、化粧品などに天然由来の防腐剤として添加できるのではないかと考えています。「スピクリスポール酸」とあわせて展示ブースでこちらもご紹介できると思います。

作業風景

─どのような場所・人に使ってもらいたいとお考えですか?

「スピクリスポール酸」は、そのものがスーパーなどに並ぶような製品ではありません。「スピクリスポール酸」を活用した製品が市場に出ることで、一般の方々に使っていただけるようになります。

弊社はBtoBの会社です。現在、メーカーさんと話をしながら「スピクリスポール酸」を活用した製品開発を進めています。近い将来、弊社の「スピクリスポール酸」が配合された化粧品や洗剤を皆様に使っていただけるようになると考えています。従来の製品より機能性が優れた製品を使用いただくことで皆様の日常がより豊かになっていただければと思っています。

─どのようなバイヤーとマッチングしたいですか?

化粧品メーカーさんや洗剤品メーカーの方。それから界面活性剤を扱っている商社さん、代理店さんとマッチングできればと考えています。多分、多くのメーカーさんが、合成品ではなく、天然素材を探されていると思うので、我々の「スピクリスポール酸」を販売していただければと思っています。

弊社は中小企業ですので、営業活動にも限界があります。特に「スピクリスポール酸」は既存ビジネスとは異なる分野で展開する必要があり、上手く世の中に広めていくことをサポートしていただけると助かります。

─今後の展望を教えてください。

化粧品にしろ、洗剤にしろ製品中の界面活性剤の配合量はそれほど多いものでありません。化粧品の界面活性剤のシェアが取れたとしても莫大な利益がでるものではありません。

しかし、天然素材のニーズは一過性のものではなく普遍的なものに近いと思います。よって、「スピクリスポール酸」は安定した販売数を長期で維持できると考えています。弊社のような規模の大きくない会社にとって、こういったアイテムが1つずつ増えていくことが大変重要だと思っています。まずは年間3000万円を目指していますが、界面活性剤は幅広い分野で利用されており、「スピクリスポール酸」も想定していない分野で利用いただける可能性があり、更に拡大を図りたいと考えています。

発酵技術を活用して求められる製品を作りたい

クエン酸の発酵

─御社の概要や特徴、事業内容を教えてください。

弊社は設立してから66年になります。もともとはクエン酸を発酵で作ることから始まりました。現在はクエン酸を扱っているものの、自社で作ることはなく、海外からクエン酸を輸入し、加工して販売しています。

発酵については受託製造事業を行っています。発酵は特殊な技術で、受託製造している会社は全国でも10数社程度しかありません。これまでの発酵製造の経験を活かしてメーカー様の製品づくりをサポートしております。また掛川市にある工場では粉末食品の受託製造を行っています。こちらはラボの開発段階から製品づくりをサポートできるところが特徴です。

また、弊社が注力しているのが環境事業です。工場でものを作ると廃液が出ます。その廃液を弊社では微生物によるメタン発酵で処理していました。この技術力も上がってきたことと、弊社は静岡県に本社があり、近隣には食品工場が多いという立地条件から、メーカー様の工場から出る廃棄物を処理することを事業化しました。メタン発酵で処理をすればカーボンニュートラルとなり焼却処理のように二酸化炭素が増加することはありません。環境に優しい処理方法です。CO2削減が叫ばれ、ニーズが高まっていることから、今後、さらに注力して行きたいと考えています。

会社風景

─どのような背景・目的で本事業に取り組んだのですか?

クエン酸の製造は辞めてしまいましたが、発酵の技術を使って、世の中が求めている新製品を作りたいという想いがありました。自社の発酵工場でお客様の製品をつくり喜んでいただけるのも嬉しいのですが、創業時のように自社製品もつくり販売するという取組みも会社全体のモチベーションアップにつながると考えています。そのなかで、天然の界面活性剤が求められていると知り、開発にチャレンジすることになりました。

出展情報

Data

出展物の業種
化学・繊維・紙
補助事業実施年度
平成30年度
補助事業計画名
発酵で生産する天然の界面活性剤「スピクリスポール酸」

企業プロフィール

Profile

社名
磐田化学工業株式会社
創業年月
昭和32年11月
代表者
藤田茂
本社所在地
〒438-0078 静岡県磐田市中泉3069
TEL/FAX
0538-35-5100/0538-35-5105
ホームページ
https://www.i-kagaku.co.jp
資本金
8,625万円
従業員数
116名(2022年4月現在)
取扱製品
クエン酸・イタコン酸・受託製造(発酵素材・粉末食品)

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