弊社は、立位機能・転倒リスクの可視化と機能回復自動提案装置「StA²BLE」を開発しました。身体機能を測る装置は数多くあります。しかし、「StA²BLE」は、指先への感覚刺激とAI技術により、世界で初めて転倒リスクの可視化を実現しました。
測ることができなかった感覚能力と身体能力の総合的な転倒リスク評価を可能とし、立位年齢として算出することができるのが特徴です。腕と指先に取り付けるデバイスと、重心動揺計、パソコンで構成されており、わずか1分で計測が可能です。場所や時間を選ばず、転倒リスクの評価をおこなうことができます。
労働現場や、デイサービス、病院、老人福祉施設などを対象とし、転倒リスクの見える化をサービスとして提供することで、転びにくい身体つくりをしていただいています。「StA²BLE」は、世界中の検診を進化させる革新的な技術であると、その有効性と利便性に対して、厚生労働省にも評価していただいています。
ものづくり補助金の活用には2つあり、1つは金型、もう1つは基板の作成です。
現在、いくつかの現場で導入していただいています。
1つは作業現場での転倒災害の抑制としてです。転倒災害は労災のなかで1番多いもので、実に40%を占めています。労災となると、原因がわかるまで、場合によっては生産ラインを止めなければいけません。それではコストがかかってしまいます。
今、活用していただいている企業は3社あり、いずれも生産ラインです。労働者の転倒リスクがどれぐらいあるかを事前に測定して把握し、それによってどういう仕事に就いてもらうのが良いのかの参考としています。
もう1つは福祉施設の高齢者向けで、対象者が転倒しやすいかどうかを測り、サービスの方法を変えて行くというものです。
要介護の状態になる原因の多くは転倒にあります。実は、転倒リスクの高い方は、国内で3,794万人いるとされています。転倒事故によって健康寿命が短くなります。なぜなら、転倒することによって、骨折や脳血管障害を起こすからです。全国の健康寿命の平均寿命が1年若くなると、経済効果が1兆円上がると言われています。
現在、競合は存在しません。先程申し上げたように、世界で初めてのものだからです。また、特許も申請しているため、今後、他社が作るのは不可能です。例え、類似したものが出てきたとしても、弊社では開発に力を入れており、他社を引き離すことができます。更に、今、データを蓄積しておけば、よりリードできるものと考えています。
企業と福祉施設を想定しています。企業では大手食品会社に採用いただいています。また、弊社では、企業の健康診断の中の標準項目とすることを目指して働きかけているところです。それと、地方自治体の福祉関係で、「StA²BLE」を町民や市民、村民の健康管理に活用していただく動きがあります。
統計的に見ると、50歳を過ぎると転倒件数が伸びてきます。それは感覚機能が弱くなるからです。とはいえ、40代、30代でも労働現場で転倒災害は起きています。幅広い年齢の方に使っていただけると考えています。
3つあります。1つ目は企業。土木建築関係や労働現場、大きな機械を取り扱うところ。2つ目は共創できる企業。例えば医療機器などを作っているメーカーなどです。そのようなメーカーが持っているノウハウと、弊社が持っているノウハウを合わせることで、価値を更に高めることができると考えています。また、弊社はベンチャーなので、ハードウェアを作るのはあまり得意ではありません。医療機器メーカーに生産や営業を支援していただきたいと考えています。3つ目は資金調達のために、VC関係や銀行系とマッチングしたいと考えています。
ものづくり補助金によって金型と基板を制作したので、100台くらいの量産はできます。ただ、品質関係やメンテナンス関係までやるとなると、弊社の負荷がかかりすぎます。そのようなことはどこかの企業に支援をいただき、弊社は本来の研究開発に集中したいと考えています。
弊社では、2つの軸を引いて開発、投資をおこなっています。
1つは利便性の追求。誰でもどこでも測れるものに取り組んでいきます。また、コストも下げていきます。場合によっては、ハードウェアを無償にしても良いと考えています。計測代金だけを徴収するというビジネスモデルの可能性もあります。もちろん、そのビジネスモデルを構築するためには、ハードウェアのコストを極限に下げなければなりません。
2つ目は、ソフトウェアの強化です。立位機能改善サービスをより良いものにしていきます。「StA²BLE」の計測データを見て、回復機能を改善しなさいと伝えますが、それを自動化します。例えば、企業が「StA²BLE」で計測し、弊社のサーバーに計測データをアップしてもらうと、弊社から動画を送り返し、その動画で改善方法を伝えるというサービスをおこなう。
また、弊社の最終目標は、企業だけでなく、国民健康診断のひとつとして「StA²BLE」を取り入れてもらうことです。そのような取り組みも進めていきます。今、売上げは年間で約1,500万円ですが、5年後には6億8,000万円になるものと予想しています。今後、さらに大きく伸びていきたいと考えています。
弊社は2019年に設立されました。大学の研究室がスタートです。研究室ではAIと人体の動きや構造の研究をおこなっていました。その研究成果を事業化していくために、UNTRACKEDを設立した、というのが経緯です。そして、もっとも社会的にニーズが高く、我々がすぐに取り組むことが出来たのが、転倒リスク生体信号を使って感情を推定するもの、身体を使って感情を制御するもの。もう一つは、プロジェクションマップを使って、子どもたちを教育するコンテンツ作りです。それらは次の事業化につなげる計画です。
転倒による損失は、社会に対するインパクトが大きいことから、社会課題として捉え、弊社が持っている技術で、どうすれば解決できるかを考え、10年前から取り組んできました。
私はよく、海外に行きますが、海外から日本に帰ってくると、日本人の表情が暗いことに気付きます。生き生きとしていない。失われた30年というのがありますが、今、停滞している日本では、躍動のある社会作りが必要だと強く思います。そのためにはまず、要介護者を減らす。健康寿命を延ばす。そういうところから始めなければいけないと思います。そして大切なのはメンタル。感情を可視化することが重要だと考えています。
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