ヘッドマウントディスプレイを装着していても周りが見えるVR

株式会社ACW-DEEP 
代表取締役 山口聡

VRに不自由さがあるのはもったいない

─御社の主な事業内容を教えてください。

2013年に会社を立ち上げた当初は、映画やCMの映像制作事業が中心でした。手掛けた映画には『センセイ君主』や『響 -HIBIKI-』など多数があります。
事業として行っているのは、プリビズ(プリビジュアライゼーション)です。プリビズとは、完成した状態が想像できるよう、3DCGで制作したシミュレーション映像のことです。プリビズのためバーチャルカメラに取り組んでいたのですが、それを発展させているうちに、お客様からの要望によってVR事業がメインとなりました。

─どのような背景・目的で本事業に取り組んだのですか?

6年ほど前、ツールとしてのVRを探し出していたのですが、理想とするものがありませんでした。
VRではHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着するのですが、見ている画面と、自分の感覚との“ずれ”によって乗り物酔いのような「VR酔い」が生じます。また、HMD装着時は周りが見えないため、人とのコミュニケーションが取れないことや、場合によっては危険なこともありました。
HMDを装着していても周りが見えれば、人はVR空間に入れるという発想から開発に取り組むことになりました。VRに不自由さがあるのなら、それはとてももったいないことなので、不自由さを解決しようと考えたんです。
そのため、ものづくり補助金を活用することにしました。

身体が不自由なために諦めていたVR体験ができる

─展示会の出展物(ものづくり補助金を活用して開発した製品・サービス・技術等)について教えてください。

当社のAVR(Advanced Virtual Reality)システムは、実写とCGによるMixed Reality技術による臨場感の高いシステムです。
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に3次元立体視カメラを装着し、そのカメラによって撮影される現実映像とコンピュータによって生成される仮想空間映像をリアルタイムで合成します。
HMDを装着していても体験者の手足や周囲にある机や椅子などの物体が仮想空間内に表示されるので、VR間内でも自分自身の立ち位置を明確に認識させることができます。

また、VR体験で生じるVR酔いを大幅に軽減させことができます。映像処理によって実際に存在する物の距離を算出するため、接触判定が可能となり、危険を回避することができます。従来では難しかった、実際に存在するものと融合したVR空間を構築することができることで様々な効果を実現できるようになります。

─それは世の中にどう役立つのですか?

もともとは当社のプリビズのためのツールとしか考えていなかったのですが、いろんな人に見せると他にもさまざまな用途があると言われました。
今、最も使われているのは建築会社での安全シミュレーションです。実際の危険な作業をAVRシステムで作り、HMDを装着して体験することで、安全訓練ができます。実際には地上10mの鉄柵もないような環境で行う作業を、先に疑似的に体験しておくことで危険を回避するのに役立ちます。

─競合と比べての優位性は何なのでしょうか?

CGを使った安全教育ツールは従来からいろいろとありましたが、ほとんどがただコントローラーを使ったゲームのようなものでした。そのため、実際にはどういった問題があるかが体験的に理解できず、あまり訓練にならないという課題がありました。また、同じようなシステムを開発している企業はありますが、複雑で高価です。

─どのような使用シーンを考えているのでしょうか?

ドライビングシミュレータとしても活用されています。車外の風景はCGですが、車内のハンドルや計器などは実際のものになります。また、製造業でベテランの属人化している作業を若い人に教育する用途として導入されています。

─どのような場所・人に使ってもらいたいと考えているのでしょうか?

福祉や医療で活用して欲しいと考えています。当社のシステムは体験者の手足や周囲が見えるため、松葉杖や、車椅子など、身体が不自由なために諦めていたVR体験が安定して使えます。
また、旅行やレストランでの食事にも使えないかと考えています。有名レストランを再現すると、行かなくともそこで食事をしているかのような体験ができます。それをする場合はレストランから食事を提供して頂かなければなりませんが、いろんなことができると思います。 また、医療では手術や医療のシミュレーションとしても貢献できると考えています

上手な活用方法を模索する

─どのようなバイヤーとマッチングしたいとお考えですか?

展示会で興味を持ってアクセスしてくれる人を対象としたいと考えています。VRは感覚的なものなので、実際に見て頂かないと実感しにくいと思います。また、映像業界の人間なので他の業種の皆さんがどのような課題をお持ちかよくわかりません。
考えられるとしたら旅行業や安全教育が必要な分野。例えば鉄鋼業や原子力関係です。また、船舶のような実際にはなかなか体験できない環境で仕事をする業界には役に立つと思います。その意味では宇宙関係にも効果的かもしれません。

─補助事業について、今後の展望について教えてください。

数年前にVR元年といわれ、話題になりましたが、実際に運用されているところはそれほど多くはありません。上手な活用方法を模索したいと考えています。
今後やっていきたいのは、日本の技術でAVRを構築したいということです。現状では3D立体視カメラは米国製ですし、HMDも台湾製です。ぜひ、日本のメーカーさんたちと協力して新しいHMDを開発したいと考えています。

出展プロフィール

出展物の業種
情報・通信
補助事業実施年度
平成26年度
補助事業計画名
バーチャルリアリティを活用した体感型シミュレーションシステムの開発

企業プロフィール

社名
株式会社ACW-DEEP
創業年月
平成25年3月
代表者
山口聡
本社所在地
〒212-0032 神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 KBIC322
TEL/FAX
044-201-8839
WEBサイト

http://www.acw-deep.jp/

資本金
300万円
従業員数
3名
取扱製品

VRシステム開発サービス、映像製作サービス