注目の出展企業 「産業開発機構株式会社」(東京都)

「意味を持たない音楽で無音の空間を彩る
環境音自動生成装置」

産業開発機構株式会社 代表取締役 分部 康平 / 
PFOEVSプロジェクト 主幹 外山 和彦(日本作編曲家協会 常任理事)

出展プロフィール

会場
東京
業種
映像・音声・文字情報制作業

作曲家と医師のタッグにより生まれた環境音自動生成プログラム

―御社の主な事業内容についてお聞かせください。

ここ数十年で映像技術の世界は格段の進歩を遂げました。精細な画を撮るカメラやそれを映し出すモニターなど、皆さんもそれぞれに思い当たる節があるのではないでしょうか。映像というとアミューズメント色の強い作品をイメージする方も多いと思いますが、実は医療における映像というのも進歩しているんです。イメージしやすいところだとレントゲンやCT等が有名でしょうか。X線を通すことで外からでは見えない人体の内部を映し出す。こういった技術が大きく発展を遂げたのも、ここ数十年での出来事なのです。そうしたものを世の中に広く知ってもらうために、弊社では医療を始め、様々な分野での映像技術に関する情報をまとめた月刊誌を2誌刊行しています。

ただ最近では、画像がセンサーとして機能する場面が増えたことで、映像の活用範囲が大きく広がっています。中には「これって映像なのか?」というような技術も扱うことがあります。そこら辺は柔軟に対応していきたいと思っています。

―今回ご出展頂くのはどのようなものになりますか?

『PFOEVS®』(フィーブズ)という音を使った音環境システムになります。と言ってもイメージしづらいと思うので、まずはこの商品を開発するに至った経緯をお話しします。PFOEVSは、作曲家である外山と、神経内科医の灰田宗孝先生、この2人のタッグにより生まれました。外山はその時、これまでの音楽のスタイルが次第に通用しなくなってきていることから、音楽の新しい形を探していました。また灰田先生は、うつ病を始めとする精神疾患を光脳機能イメージングという近赤外光を用いて、客観的に診断するシステムの確立を目指す研究会のリーダーとして研究を引っ張っていた経歴をお持ちの方ですが、医療技術ではなく医療サービスも提供する存在としての病院というものに興味をお持ちで、試行錯誤を重ねていらっしゃいました。弊社としても出版不況と呼ばれる中で何か新しい事業を見つけなければならないと模索していたところ、もともと縁のあった2人からこのような話をそれぞれから聞かされ、これなら面白そうだということで両者を引き合わせた、というのが開発のスタートです。

これが6~7年前のことですから、PFOEVSは一朝一夕に完成した物ではありません。コンセプトは灰田先生のあるエピソードを元にしたものでした。無音状態と言うのは人体に余計な緊張をかけてしまいます。そこで何かリラックス出来る音楽を流してみようと、ある日実験的に大学病院の待合室でクラシック音楽を流してみたそうです。すると一部の患者からクレームが出たというのです。クラシックというとリラックスできるイメージがありますが、音というのは人の記憶に深く関わっていて、何か嫌なことがあったときに聞いた音楽だとか、あるいは単純にメロディが嫌いだった、という理由でクレームは発生するのです。ここから灰田先生は、既存の音楽や意味のあるメロディだと、こういった待合室で流すには適さない、こうした場面に適するのは、演奏していることにすら気付かないような意味のない音楽だ、という仮説をたてました。

この仮説を元に外山に作曲を依頼したのですが、これまで目立ちたい、聞く人に楽しんでもらいたい、という思いを持って曲を作ってきたので、意味のない音楽と言うのは大変作りづらかったと振り返っています。そして例え意味のない音楽を作れたとしても、いずれは膾炙されていく中で意味を持ってしまいます。そこでもう演奏も録音も諦めて、作曲家の外山自身が「コンピュータによる自動生成のプログラムを組んでしまえ」となり完成したのがPFOEVSです。完成にあたっては外山が音楽業界の識者や研究者、さらにはカウンセラーなどの意見を取り入れ、工夫を凝らしながら創り上げました。

―現在の課題などはありますか?

自動生成プログラムを入れたコンピュータにアンプを繋げて音を流すのですが、これだとどうしてもスペースが必要になります。これを解決するために、現在PFOEVSのチップ化を進めており、今回の展示会ではそのチップを出展します。プログラムの入ったチップをスピーカーに差し込めばそれだけでPFOEVSが流れることになります。そうなれば持ち運びも簡単ですからね。あるいは空気清浄機に組み込んで、空気の清浄もしつつ音も流す、何ていうのも面白いのではないかと思っております。何にせよ小型化できれば使い道もかなり広がるので、ぜひ来場者の皆様にもPFOEVSの活用法を考えていただければと思っています。

また、先程の話とは毛色の違う課題なのですが、PFOEVSはなるべく存在を気づかれたくないものです。リラックスのために置いていますから。しかし音でリラックスさせられるということは、その逆もまた可能です。PFOEVSには決して悪意はありませんが、聞いている人からしたらこれが良い効果をもたらすのか悪い効果をもたらすのかはわかりません。なんだか怪しい音がなっているが一体何の目的で流しているんだ?と疑念に思われればリラックスどころか更に緊張してしまいます。こうしたことを避けるために、きちんと使用エリア内に張り紙で告知をする等、無断での使用はしないようにしています。

「バーチャルとフィジカルの架け橋」を体現するものとして

―ものづくり補助金はどのようにご利用いただきましたか?

PFOEVSの研究開発や特許・商標登録のために使わせていただきました。

―今後PFOEVSをどう発展させていきたいですか?

先程お話したチップ化をはじめ、様々な使い方を考えております。こういった技術というのは目に見えるものではないので、今回のものづくり補助金の成果物として、あるいはものづくり補助金の意義をPRするものとして、という面では適していないかもしれません。しかしまだPFOEVSは生まれたばかりで、未来に向けた可能性というのは無限にあると思っています。

今後世の中ではますますバーチャルの世界が重要になってくることでしょう。私たちのキャチフレーズは「バーチャルとフィジカルの架け橋を音で提案する」と言うものなのですが、まさにPFOEVSがここでいう架け橋のような存在になることで、将来的にものづくり補助金を使ってできたあの研究はすごかったね、と言ってもらえるようなものにしていきたいですね。展示ブースではPFOEVSの実演もやりますのでぜひ足を運んでみてください。音のエアーカーテンがあるような、「何かが違う」という感覚を確認して、楽しんでいただけると幸いです。

産業開発機構株式会社の主な製品

企業プロフィール

企業名
産業開発機構株式会社
ものづくり補助金利用事業名
“音環境を”整えて医療・商業サービスの質を高めるサウンド開発
基本情報
創業年月 1968年10月
代表者 分部 康平
本社所在地 〒111-0053 東京都台東区浅草橋2-2-10
TEL/FAX番号 03-3861-7051/03-5687-7744
Webサイト http://www.eizojoho.co.jp/
資本金 1,000万円
従業員数 7名
取扱製品 1)[月刊]映像情報インダストリアル ―画像処理とITが融合したSI情報誌―
2)[月刊]映像情報メディカル ―医療と画像技術を結ぶ専門情報誌―
3)上記1.2の関連書籍

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